【書評】『ファクトフルネス』ハンス・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作、関美和訳

ハンス・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作、関美和訳

『ファクトフルネス』

 

を読んだ。

 

分厚くイカツい見た目だけれど、驚くほど読みやすい一冊。

カジュアルで気取らない日本語訳が小気味いい。

 

誤解されがちな世界の現実についてデータを参照しながら現実を伝え、

無意味な不安を拭い去ってくれる。

世界は日々改善されており、

一部の印象的な事柄に注目しがちだが、

全体のボリュームを考えたほうがいいという意見には納得。

 

センセーショナルな事ばかり取り上げるメディアに毒されているのと、

いかに先入観が沁み込んでいるか感じる。

先進国と途上国の分断のイメージは数十年前のもので、

日々世界は更新されていることを改めて認識させてくれるね。

 

そんなことも知らんのか!?と驚愕されるかもしれないけれど、

アメリカ10億人、ヨーロッパ10億人、アフリカ10億人、アジア40億人と

アジアの人口ボリュームが圧倒的に抜けていることも初めて知った!

中国が人口大国であることは隣国だし

日本で暮らす人なら知らない人のほうが少ないけれど、

アジアが世界の人口の半数以上というのは驚いた。

 

しかも2100年にはアフリカとアジアに世界人口の8割が暮らすらしい。

たまげるわ。

 

昨今のSDGsのスローガンが「あちらの」世界の深刻さがよほど大規模かと思うけれど、規模の現実はこうなんだ!と冷静になれる。

もちろん地球人がみな等しく、

人間としての尊厳が守られる生活を送られるように社会課題を解決することが

大切だということは分かっているけれど。

 

テロで殺される人の数よりも酔っ払いに殺される人の数のほうが多いというのも

当たり前のようでいてやはり、

センセーショナルな出来事に不安を感じやすい気持ちはあるよ。

 

ファクトフルネスって何なの?という問いに、

一言で言い切るのではなく各ルールで決定づけているところが特徴。

ルールは、p.325の図解が説明してくれる。